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お知らせ

大阪大学歯学部4年生に特別講義を行いました

講演

2026年6月23日

大阪大学歯学部の教室で、デジタル化による歯科治療の可視化をテーマに講義をする山羽院長
大阪大学歯学部の教室にて

大阪大学歯学部の4年生を対象に、特別講義を行いました。私は阪大の委託講師を務めています。

今回のテーマは、「デジタル化による歯科医療の変革」。そして、サブテーマに据えたのが「可視化」です。

まずは、頭脳ゲームで和ませてから

60分、いすに座ったまま話を聞き続けるのは、学生にとっても簡単ではありません。そこで、本題に入る前に頭脳ゲームを1つ入れました。

隣の人とペアになって、口頭だけで答えを伝え合う。正解を当てるというより、「伝える」ことに頭を使うゲームです。教室の空気が少しゆるんで、こちらも話しやすくなりました。

このゲームには、もう1つ狙いがありました。口頭だけで伝えることの難しさを、体で分かってもらうことです。

言葉だけでは、相手には同じ絵が浮かびません。順番を変えるだけで伝わらなくなる。説明しているうちに、自分でも分かっているつもりの部分が曖昧だったことに気づく。学生たちは、その難しさを笑いながら実感していました。

そして、そこからが本題です。伝わらないのは、伝える力の問題だけではありません。見せれば済むことが、見せていないだけ——この気づきが、そのまま「可視化」の入口になります。

講義の冒頭、ペアで答える頭脳ゲームを行う大阪大学歯学部の学生たち
冒頭の頭脳ゲーム。ペアの方に口頭で伝えてもらいます

ありがたいことに、そのあとの60分、居眠りをする学生は一人もいませんでした。

なぜ「可視化」なのか

歯科のデジタル化というと、CTやスキャナーといった機器の話になりがちです。ですが、本質はそこではありません。

デジタル機器が変えたのは、「見えなかったものが見えるようになった」ことです。骨の中の神経の位置、噛み合わせの接触、治療前と治療後の形の違い。以前は経験と勘で補っていた部分が、データとして目の前に並びます。

冒頭のゲームで学生が味わった「伝わらない」という感覚は、診療の場でも毎日のように起きています。患者さんに言葉だけで説明しても、頭の中の絵は人によって違います。見せれば一瞬で伝わることを、言葉だけで済ませていないか。デジタル化の意味は、ここにあります。

  • 診断の可視化:CTで骨の量と形、神経や血管の位置を立体的に確認する
  • 治療計画の可視化:手術の前に、入れる位置と角度をシミュレーションする
  • 説明の可視化:画面を見ながら、患者さんと一緒に確認できる
  • 結果の可視化:治療の前後を、データで比べられる

学生には、機器の名前を覚えるのではなく、「これは何を見えるようにする道具なのか」という視点で捉えてほしいと伝えました。

伝えたかったこと

講義の最後に、次の3つを話しました。

1つ目は、道具より前に、患者さんがいるということ。どんなに精密な機器を使っても、最後に決めるのは患者さんです。説明をしないまま治療を進めれば、デジタルの精度は意味を持ちません。

2つ目は、数字を読む力が要るということ。データが増えるほど、「この数値は何を意味するのか」を考える力が求められます。機器が出した答えを、そのまま患者さんに渡すわけにはいきません。

3つ目は、学ぶ場所は教室だけではないということ。臨床の現場では、教科書に載っていない判断が毎日あります。国家試験のあとも学び続ける姿勢が、そのまま診療の質になります。

終わってみて

学生の反応は、こちらが想像していたよりずっと具体的でした。話している側が、問いを立て直される。そういう時間でした。

教える側でありながら、教えられる時間でもあります。来年以降も、この場を大切にしていきたいと思います。

※ 本記事は講義の報告です。講義内容の詳細・資料については、大学の指示に基づき掲載していません。

院長 山羽徹の写真

このページの監修

山羽 徹医療法人山羽歯科医院 院長

  • 日本口腔インプラント学会 認定専門医(登録番号 第1120号)
  • 大阪大学大学院歯学研究科 非常勤講師/博士(歯学)
  • 1999年からインプラント治療に取り組む
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